改造ポケモン ~概要と事例~
改造ポケモンはGB(ゲームボーイ)のポケモンシリーズからずっと一定数います。ポケモンホームではGBAシリーズ以降のポケモンを連れてくることができますが、その中で他人からもらったポケモン(特にGTSを利用した通信交換)では改造個体と呼ばれるポケモンが紛れ込んでいることが多いです。
今回は、改造ポケモンの概要と事例についてのお話です。
最後まで読んでいただけると幸いです。
改造ポケモンとは、名前の通り改「造されたポケモン」ということですが、何が改造されているのか、というところに疑問符が浮かぶと思います。
改造されているのは、内部データと呼ばれるゲームソフトおよびポケモンのデータを改ざんしているということです。
以下の画像をご覧ください。
アニメが好きな方は見たことがあるかもしれません。「ポケモン サン・ムーン」特別体験版から本編に連れていくことができた特別なゲッコウガの姿です。
通称「きずなへんげゲッコウガ」と呼ばれる個体ですが、特性の「きずなへんげ」はバトル中にポケモンを倒したときに働く特性です。
種族値の大幅強化と技「みずしゅりけん」の威力が「15→20」に上昇し、常に3回当たるというぶっ壊れ仕様になる特性です。もちろん、ランクマッチでは使用禁止になった個体です・・・。
しかし、画像を見ると常にきずなへんげしている状態になっています。本来はあり得ないことです。
さらにこの画像は突っ込みどころ満載です。ポケモンのレベルの最大は「100」ですが、「255」となっていますし、ステータスがすべて「999」となっています。通常プレイでは絶対に再現不可能です。
突っ込むところはまだあります。正規のきずなへんげゲッコウガは、モンスターボールに入っており色違いが存在しない個体です。
画像では、色違いでウルトラボールに入っています。さらに親名は「サトシ」で固定なのですが、親名が「ウルトラ」になっています。
これまでに指摘した要素は、ソフトの内部データを改ざんすることで実現させています。
上記のほかに、特に横行した改造は伝説・幻ポケモンの色違い入手と配布ポケモンの不正入手だと思われます。
ポケモンスカーレット・バイオレットが発売されても、未だに野生での入手ができないポケモンが少なからずいます。またソフトによっては、ソフト内のブロックルーチンと呼ばれるシステムで、野生での色違い入手ができないポケモンもいます。
下記は通常、色違いまたはその両方で野生入手ができないポケモンたちです。(一部、ゲーム内で人からもらうポケモンも含みます)
・ニンテンドーゲームキューブ「ポケモンコロシアム」で入手できる以下のポケモンの色違い
ブラッキー、エーフィ、プラスル(親名:ギンザル)、ホウオウ(親名:バトル山)、ピカチュウ(親名:コロシアム)、セレビィ(親名:アゲト)
・ニンテンドーゲームキューブ「ポケモンXD 闇の旋風 ダークルギア」で捕まえられるすべてのダークポケモンの色違い
・ポケモンブラック・ホワイト(マイナーチェンジ含む)で捕まえられる以下のポケモンの色違い
ゼクロム、レシラム、ビクティニ(ブラック、ホワイトのみ野生入手が可能)
ゼルネアス、イベルタル、ジガルデ、フリーザー、サンダー、ファイヤー、ミュウツー
・ポケモンオメガルビー・アルファサファイアで捕まえられる以下のポケモンの色違い
・ポケモンサンムーン(マイナーチェンジを含むものは☆をつけている)で捕まえられる以下のポケモンの色違い
☆カプ・コケコ、☆カプ・テテフ、☆カプ・レヒレ、☆カプ・ブルル
☆コスモッグ、☆コスモウム、☆ソルガレオ、☆ルナアーラ、☆ジガルデ
ウツロイド、マッシブーン、フェローチェ、デンジュモク、カミツルギ、アクジキング
・ポケモンソード、シールドで捕まえられる以下のポケモンの色違い
ザシアン、ザマゼンタ、ムゲンダイナ
ガラルフリーザー、ガラルサンダー、ガラルファイヤー
ケルディオ、バドレックス(ブリザポス、レイスポス含む)
・ポケモンブリリアントダイヤモンド、シャイニングパールで入手できる以下のポケモン
ゲーム内の交換で入手できるすべてのポケモン
ミュウ、ジラーチ(いずれも連動特典)
・ポケモンLEGENDSアルセウスで捕まえられる以下のポケモンの色違い
・ポケモンスカーレット、バイオレットで捕まえられる以下のポケモンの色違い
コライドン、ミライドン
ぬしポケモンすべて
コレクレー
チオンジェン、パオジアン、ディンルー、イーユイ
・ポケモンソード、シールド(DLC含む)以降のシリーズでストーリー中に貰うことができるポケモン
・下記の幻のポケモン(野生出現なし)
ゼラオラ、ザルード
また、以下のポケモンは特別なアイテムを使用することで野生入手ができますが、こちらの場合は特に改造個体が出回ったと思われます。()内は入手できたゲームタイトルです。
・みなみのことうで入手できるラティオス、ラティアス(ルビー、サファイア、エメラルド)
・たんじょうのしまで入手できるデオキシス(ファイアレッド、リーフグリーン)
・さいはてのことうで入手できるミュウ(エメラルド)
・へそのいわで入手できるホウオウ、ルギア(ファイアレッド、リーフグリーン、エメラルド)
次に特に改造個体が多かった、あるいは改造の疑いがあるとされる配布ポケモンたちです。数が多い場合は、ポケモンの親名で簡略化します。
配布ポケモンは、種類にかかわらず改造個体が多く出回っていますが、私自身が個人的に多いと感じた改造ポケモンたちなどを列挙していきます。
・国内外すべてのGBAソフト向けに配布されたポケモンおよび限定アイテム(むげんのチケット、オーロラチケット、しんぴのチケット、ふるびたかいず)
・クラシックリボン、ウィッシュリボンなどの特別なリボンを持っていない、ポケモンダイヤモンド・パール以降のシリーズ向けに配布されたポケモン
さいきょうシリーズ(親名が「さいきょう」の個体)
テンイむらレジギガス(「映画 ギラティナと氷空の花束 シェイミ」で配布された個体)
など
・「劇場版ポケットモンスターダイヤモンド&パール ディアルガVSパルキアVSダークライ」の劇場内で配布されたダークライ
・「劇場版ポケットモンスターダイヤモンド&パール アルセウス 超克の時空へ」の映画特別前売り券で入手できる色違いのピチューと劇場内配信で入手できるアルセウス
・「劇場版ポケットモンスターダイヤモンド&パール 幻影の覇者 ゾロアーク」の映画特別前売り券で入手できる色違いスイクン(通称:クラウンスイクン)
・ポケモンARサーチャーで入手できる夢特性を持つ伝説ポケモン
(霊獣フォルムのランドロス、マルチスケイルを持つルギアなど)
*厳密に言うと配布ポケモンではありませんが、事例が多かったので掲載しました。
・アニメ連動キャンペーンで配布された色違いのゼルネアス、イベルタル
・「劇場版ポケットモンスターXY 光輪(リング)の魔人 フーパ」の映画特別前売り券で入手できる夢特性を持つ伝説のポケモンたちと、ごくまれに入手できる色違いのアルセウス
*この映画で配布されたポケモンは以下の通り(赤字は改造個体が多かったポケモン)
カイオーガ、グラードン、ディアルガ、パルキア、ギラティナ、キュレム、フーパ
マナフィのたまご
リオル(親名:カイト)
ダークライ(親名:アルミア)
改造することで通常入手できないアイテムを所持することもできました。その事例が特に多かったアイテムたちも載せておきます。()内は入手できたゲームタイトルです。
ふるびたかいず(エメラルド)
メンバーズカード(ダイヤモンド、パール、プラチナ)
オーキドのてがみ(ダイヤモンド、パール、プラチナ)
てんかいのふえ(ダイヤモンド、パール、プラチナ)
リバティチケット(ブラック、ホワイト)
プレシャスボール(ダイヤモンド、パール以降のシリーズ)
一部のアイテムに関しては、特定のイベントを発生させないと使用することができないものがありました。てんかいのふえがその最たる例ですが、改造によってそのイベントを強制的に発生させて使用するという事例もありました。
上記に示したポケモンたち、およびアイテムの入手に関する改造は、すべてソフト内のデータを改ざんすることで再現しています。
改造はプロアクションリプレイと呼ばれる外部ツールや、PCにゲームデータを専用の機器で吸い出し、ゲームデータを直接書き換えるといった手法が採られていました。
ポケモンの改造はいくつか種類がありますが、大きくゲームの進行に影響を及ぼすもの(ジムバッジが最初からそろっているや、イベントフラグを無視した伝説ポケモンの入手など)、ゲームの進行にさほど影響しないもの(アイテム数を所持上限にするや所持金が減らないなど)に大別されます。
もちろん、どのようなものであっても(株)ポケモンは改造を一切認めておりません。以下のような声明が公式から発表されています。
(ポケットモンスターオフィシャルサイト 不正に改造されたデータを利用されているユーザーへの対応についてより)
公式からもあるように、改造してプレイしているとゲーム自体にに影響が出ることが明言されており、対象者には厳しいペナルティーがあるということだそうです。
ここで、公式大会での事例を紹介します。
ポケモン第5世代(ブラック・ホワイト、ブラック2・ホワイト2)向けに開催されたオンライン形式の公式大会では、参加者の10%程度の人が改造ポケモンを使用していたなど、大問題になったことがありました。(改造個体を使用していたプレイヤーには厳しい処分が下ったそうです)
その時に標的になってしまったポケモンはスイクンです。当時、スイクンは水タイプのポケモンの中で群を抜いて人気がありました。その理由は、映画で配布された「クラウンスイクン」にあります。
この個体は、色違いで性格が「のんき」固定でした。そして、技が以下のようになっていました。
アクアリング
ここで質問です。皆さんはこの技の中で特に目を引く技はどれですか?
スイクンの耐久から考えると、「アクアリング」と答える方がいると思います。
しかし、注目されたのは「ぜったいれいど」でした。当時、「ぜったいれいど」はどのポケモンが使っても命中率が30%でした(現在は、氷タイプ以外のポケモンが使うと20%に下がってしまいます)。
「ぜったいれいど」は一撃必殺技ということもあり、耐久がすこぶる高いポケモンでさえも、当ててしまえば突破できる技です。
そもそもスイクンは、耐久値がとても高い水準にあるポケモンで、しっかり育てると並みのポケモンでは突破が難しいポケモンに変貌します。これにより、「ぜったいれいど」の試行回数が増え、そのうち打ってれば当たることになります。
さらに、スイクンの性格が「のんき」であることはデメリットではないという点も、この個体の人気に拍車をかけました。
改造ポケモン(疑いを含む)を意図せずに受け取ってしまった場合の対処は、入手したポケモンを逃がして、すぐにレポートをすると良いと思います。
要するに、自分のセーブデータから改造個体を消してしまえば良いということです。
決して、腹いせに手に入れてしまった改造個体を他人に送らないでください。それをしてしまうと、改造している人に加担していると考えられても否定できなくなってしまいます。
また、交換をする際も信用に足る人から交換してもらうことを徹底することが大切です。配布ポケモンは自分の足で貰いに行くことが確実です。
今回は、改造ポケモンの概要と事例についてのお話でした。
最後まで読んでいただきましてありがとうございました。
次回の更新をお楽しみに!
~参考資料~
ポケットモンスター オフィシャルサイト